「小物なんか」から「小物ってすごいなあ」に
- AJI PROJECTではどの商品制作を担当されていますか?
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髙橋さん
OISEAUを造ったりもさせてもらいましたが、主に新製品のLUMPを作っています。
- AJI PROJECTの製品造りは難しいですか?
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髙橋さん
OISEAUのような姿物は、正確に形作っていくという難しさはあります。逆にLUMPは割と造りやすいですね。
でも、難しい簡単もあるんですけど、AJI PROJECTの製品を造るのは全部楽しいです。 - AJI PROJECTの商品を手にして頂いた方に見て欲しいポイントなどはありますか?
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髙橋さん
石のプロダクトだから、全部一つ一つ違う、という事と、それを一個一個『手で造ってる』というのは、分ってもらえたらなとは思っています。うん。
同じ形のものだとどうしても機械で全部造っとるように見えてしまうんですけど、「石は全部“手”だよ」っていう・・・。お客さんは出来上がっとるものしか見られないから、それを伝えるのは難しいんですけどね。
- 今年から本格的にAJI PROJECTに参加して印象が変わったところはありますか?
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髙橋さん
印象は大分変わりましたね。 今までずっとお墓を造って現場で建てたり、鳥居を建てて・・・とやってると、言い方悪くなっちゃうんですけど、小さいものを沢山造って売るのよりは、やっぱり大きなものの方が利益も良いし・・・みたいな考えがどこかにあったんですね。もちろん現状としては今もそうなんですけど、じゃあ墓石が売れなくなって来たときに、自分らが何をしていかなければならないのか・・・。AJI PROJECTのプロダクトを造るようになって「小物なんか」から「小物ってすごいなあ」っていう風に見方が変わってきましたね。
それと単純に造ってて楽しい(笑)。
自分が加工することで色々なものが『形になる』というのが楽しいし、尚且つそれを人が「欲しい」と言うてくれるわけで、その嬉しさもありますよね。
“石屋さん”が自分にとって自然な選択肢でした
- 髙橋さんは、産地で長く続いている石屋さんの4代目ですね
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髙橋さん
そうですね。宇次郎お爺さん(曾祖父・創業者)の頃は、加工だけだったんですけど、ウチのおじいさんの代で庭石を扱うようになって、丁場で採石も・・・という感じです。メインは墓石ですね。
大学卒業して、そのまま2012年に入社して・・・10年になりますね。
最初は卒業してからそのまま修業するつもりで、(石材の職業訓練校がある)愛知県の岡崎の大学に入ったんですけど、卒業の頃の状況から「地元に帰ろうか」となりました。岡崎にも庵治産地と同じように石工団地が2つあるんですけど、当時は片方がちょっと元気が無くなってて・・・。今は『Masons』とか若い子が頑張ってて、元気になっとるみたいですけど。
当時はそんな状況だったんで、こっちに帰ってそのまま入社・・・いう感じです。 - 石屋さん・職人さんを志したのはいつ頃でしたか?
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髙橋さん
高松工芸高校の建築科に入って、大学でも建築を専攻したんですけど、建築を選んだのは「帰ってきたら、(石屋を)せないかんけん、図面が読めた方がいいんじゃないのか」というのがあったんです。だから高校入った時点で、石屋さんせないかんだろうな、というのはありました。
高校出る時くらいにはそのまま設計士になるんもええかな、と思ってたんですけど、会社を継ぐという選択を考えたときに、父に「継ぐんやったら、大学で色々学んどいた方がええぞ」と言われたのもあって大学にも行かせてもらったし、大学を卒業する頃にも、高校の担任だった先生から「ウチで先生をしないか?とりあえずは補助教員で」と言われて、ちょっと迷ったり・・・というのはあったんですけど、結局最初に選んだ「石屋さん」の道に進みました。
自分にとって一番それが自然というか・・・「(石屋さん)するんだろうな~」というのはずっと漠然とあったと思います。 - 入社してからの10年はどのようなものでしたか?
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髙橋さん
うちは基本的にそれぞれの作業を専任でやってるので、磨きの職人はずっと磨きをやってるし、(石を)挽く人はずっと挽いて・・・です。僕の場合は、お墓の図面書いたり、現場で据え付け作業したり、文字彫ったり、建築の現場に助っ人で呼ばれて行ったり・・・とかかな。
建築の現場行って図面をパッと渡されても、「あ、ここはこうなるんや」って、ある程度は解るし、高校時代の同級生が色々な設計事務所の監督だったりするから、解らなかったらすぐ訊けるし、その辺は活かせてるなと思ってます。
- 好きな作業や得意な工程はありますか?
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髙橋さん
得意・・・というか『好き』になるんですけど、現場・・・特に建築の現場とかに行くのが好きですね。
いろんな業種の人と一緒に何かを作りあげていくっていうのが好きなんです。毎日目に見えて進んでいく様であったり、コチラはお金を頂いて仕事をしているのに、施工後に「うわー、きれいなん出来た、ありがとう!」って言ってくれるお客さんがおったりとか・・・。建築の現場で現場監督さんに「これいつまでにできるかな」と聞かれて、皆で「う~ん・・・」と言いながら対応していったりというのが楽しいです。
- こだわっている道具はありますか?
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髙橋さん
この道具で無いとダメ!っていうのは無いんですけど、自分が使う道具は自分で手入れしてます。
あんまり人に触られたくない(笑)。入社して2年目の時に検定(石材施工技能検定)があって、その時に揃えた道具を未だにずっと手入れしながら大事に使ってます。
セットウにしても柄を自分で付け替えながら使ってます。
- 職人さんにとって、庵治石ってどんな石でしょう?
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髙橋さん
失敗したら高くついちゃう石(笑)
他の石でもそうですけど、より失敗せんように・・・。でも、ウチ(髙橋石材の採石場)の石に関して言えば、他の丁場の庵治石と比べて、同じ庵治石でも目合いも少し違うし、感覚的により粘いので、オシキリとかノミを使うにしても、中々うまいこと弾けない。だから自分とこの石を加工するときは思い切ってやるように意識してます。
- 仕事中のリフレッシュアイテムはありますか?
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髙橋さん
う~ん・・・集中力切れたらフラッとコンビニ行ったりとかするけど、特には無いですね。会社に高校の同級生がおるんで、ちょっと喋ったりするのが気分転換になってるのかも。
休日は、夏は友だちの子どもを連れて釣りに行ったり海に行ったり・・・。
冬は雪がよく積もる塩江のキャンプ場行って100均で買ったそりで滑ったり・・・、自分も小さい頃父にキャンプに連れて行ってもらったりしてるのもあって、結構アウトドアで楽しんでます。
髙橋 輝(たかはし あきら)さん
1989年生(34才:取材日時点)
- 担当しているAJI PROJECT商品
- 主にLUMP A / B / C / D